代謝を高める「食べあわせ薬膳」

食べものは、わたしたちにさまざまなパワーやエネルギーを与えてくれます。


栄養が細胞をつくりカラダの構成成分になるということはもちろん、

彩りから発するワクワク感、

香りから伝わるめぐり感、

おいしさが届けてくれるしあわせ感。

 

食べものから受け取る恩恵はあまりに大きく、食べものがなければ、わたしたちはこの命を維持していくことができませんが、それをありがたいとは思わず、あたりまえのことととらえている人がほとんどかもしれません。

 

そう感じたとき、わたしはそれはもったいないことだなと思うのです。

意識的に「健康になる」食べ方をすることで得られる大きな幸せが、その「あたりまえ」の中にあるからです。

薬膳は、おかあさんの手料理のこと


わたしが考える薬膳は、身近に手に入る食材でつくる、おかあさんの愛情料理のことです。

家族が喜ぶ、家族の健康を守る料理には、すべてのおかあさんの「家族への想い」が込められています。

その想いを、具体的に「どのようにすれば家族が喜び、健康を守ることができるのか」を考え、実践した結果の知識の集大成が「薬膳」です。

 

薬膳は、むかしの人々の経験に基づいた予防医学なのです。

そのむかしは現代のように医療が充実しておらず、病気になることが死を意味しました。病気を予防する知識が「生きる」ことにおいてとても大切で、その方法を家庭で伝え育んでいくことで末代までの健康を願いました。

生薬をつかった料理というイメージがまだ根強いですが、東洋医学では大自然の恵みすべてを「薬」としてとらえます。ですから生薬も、食材も、自然由来のものはすべて薬膳の素材です。

 

長く続けることが健康を保つうえでもっとも大切と考え、提案する薬膳レシピは「食材」のみを使用しています。おいしいこと、料理が楽しい、調理がラクなことも長く続けるため、おかあさんの笑顔を守るために大切な要素です。そういった広い意味での「薬膳」を提案しています。

健康とは、循環すること。


栄養学では一般的に、健康のために栄養を「摂取」することを考えますが、わたしが考える健康は「循環」です。しっかり摂った栄養は循環してこそカラダの隅々で機能します。

 

栄養が消化吸収され血液に変わり、血液が毛細血管の隅々まで行き渡り内臓を動かす。

あたらしい細胞をどんどん再生し、古くなった細胞は排出する。

摂りすぎた余分な栄養は排泄する。

排泄がしっかりできることで次の栄養が吸収される。

 

こうして「循環」することでわたしたちは生かされています。そして「循環」できなければどこかで「詰まり」が生じ病気の原因となります。栄養を消化吸収し、しっかり活動エネルギーに変えて活用する。そして余分なものを排泄する。この一連の栄養の流れが循環すること、つまり「代謝」することです。

 

薬膳は、病気を予防して日々を元気に過ごすための知恵にあふれた、素晴らしい料理学です。知れば知るほどに「なるほど」の納得度が増して、学ぶごとに腑に落ち、どんどん面白くなります。

 

しかし、昔からの薬膳の知恵そのままでは、活用はむずかしくもあります。なぜなら、むかしの人と現代人とでは、食生活に大きな違いがあるからです。

 

薬膳を日々に取り入れるには、現代人のライフスタイルに合わせたアレンジが必要です。

薬膳の知恵を、現代人の食生活に合わせてアレンジ


薬膳の基となる東洋医学では、病気の治療はせず、その根本的な問題を解決することで治癒に導きます。

そのためまずは病気の原因はなにかを知ることが必要です。

現代人の病気の主な原因は「栄養過多」・「ストレス」・「季節性」とわたしは考えます。

1.「季節性」の不調を解決する「薬膳」


これは薬膳の、養生の考えからきています。季節性の病気とはどういうことなのでしょう。

 

たとえば冬は寒いので、東洋医学では「寒」の気が心身に影響を及ぼすと考えます。

カラダが冷えるのが「原因」で、そのため血流が悪くなり、血が粘り、血管が詰まりやすくなる、血圧が上昇する、糖尿が悪化する、かぜをひきやすいなどの「結果」が現われます。原因が寒さで、その結果現われるのが症状という考えで、解決法はカラダを温めれば良いということです。

 

また、夏は暑いので疲れやすく、消化力が落ち、血が濃縮されて血管が詰まりやすく、熱中症のリスクが高まる。この場合の対応はカラダの熱を取ることで解決します。原因の先にある「結果」が起こらないよう、あらかじめ対策しておこうというのが東洋医学の考える予防医学です。そして結果(症状)は同じでも、原因がちがうと対処法は全く異なります。

2.「栄養過多」は現代人のいちばんの課題です


健康のために大切なことは、栄養を摂取することではなく栄養を活用することです。

しかし健康を気遣い、情報がたくさんあるほど、あれも食べなくては、これも食べとかなきゃ、時間がきたからお昼ごはんを食べよう…など、栄養を摂取しすぎる傾向にあります。

 

次から次へと栄養がカラダに入ってくると、消化・吸収・排泄などの代謝作業がフル回転となり内臓が疲れます。それでもなお入ってくるのでずっと働かなくてはならず、消化機能が衰えてしまい、代謝が落ちます。

 

むかしの人は、栄養が足りなくて病気になっていました。しかし現代人は、栄養過多で病気になる。それでもまだ、あなたは栄養を摂取しますか?

 

栄養は「食べるだけ」ではカラダにうまく取り込むことができません。吸収率を高めることが大切です。

 

そのために

・胃腸を休めてあげること。

・胃腸内がキレイになるよう排泄をスムーズにすること。

・栄養の吸収などの代謝を高める「食べあわせ」をすること。

 

たとえば焼魚には大根おろし、刺身にはわさび、たけのこを煮るときはわかめを添え、小豆を煮るには塩を加えるなど、味を良くするためでなく循環するカラダをつくり、代謝を高めて健康を守るために伝え続けられている知恵があります。

 

胃腸は「根」を表します。

根っこが丈夫なら、雨風や寒暖差にも負けず、枝が病気になって切り取ってもまた健康な枝が生え、花が咲き、実が成ります。カラダの中の「根」を丈夫にするためには、栄養を摂取し、栄養がカラダの中で機能する「代謝」を高めることが大切です。

 

栄養を摂ることは生命維持においてとても大切なことです。細胞を作ったり、活動エネルギーになりわたしたちを動かし、内臓を働かせます。しかしながらその栄養が渋滞を起こし消化不良になると、その能力が発揮できず病気を引き起こします。

 

健康のためにしていることが、じつは健康寿命を縮めていることになるということもあります。経験に基づいた食事での予防医学「薬膳」の「食べあわせ」は、栄養をしっかり活用できます。

3.「ストレス」は受け手側の気持ちしだいでどちらへも転ぶことができます


気が詰まるとストレスを感じやすいですし、体調が整い気がめぐれば心が整います。

 

「気」は東洋医学の概念ですが、わたしたち人間の中では気持ちや気分の意味があり、自然界の中にも「気」が宿っています。食べることは作物の「気」を取り込むことで、食べ過ぎて消化吸収が追いつかず、排泄がうまくいかないときは「気」が詰まります。

 

とくに胸のあたりで気が詰まりやすく、胸焼けなどの消化不良の状態となります。胸の気が詰まると、ため息をつきます。これは気詰まりによるストレスの状態です。

 

代謝を整えることで「気」は循環し、ストレスはおのずと感じにくくなっていきます。

代謝が上がると、体温が上がる


体温が一度上がると免疫力は12%、代謝は30%上がるということが証明されています。

体温を上げることは健康維持にはとても大切ですが、そのための食事作りはなかなか結果が見えず難しい道のりです。

 

しかし代謝を高めることは、根のチカラを高めること。

昔の人が遺してくれた知恵「薬膳」の食べあわせによって可能です。

 

毎日の食生活を「食べあわせ薬膳」に変えるだけで、体内がキレイになり、栄養の吸収が高まり、カラダも気持ちもめぐります。心とカラダが循環することでおのずと体温が上昇し、免疫力向上、ストレス解消、気力向上などが期待でき、健康で過ごすことができるでしょう。