陰陽・旬・五行・気血水について

世の中のすべてのものは陰と陽によって構成されているという考え方があります。陰=沈静・冷え、陽=活動・熱などというイメージです。

 

心身が陰のときは陽の性質をもつ食材を、逆に心身が陽のときは陰の食材で補いバランスを整えます。このバランスが崩れるとさまざまな症状が出てきます。人も自然の一部なので、食べ物、季節、環境、風土とも大きな関わりがあります。

 

例えば……

【果物】

 甘くて食べるとホッとするのは、陰のはたらきのおかげです。しかし寒性食材が多いため、食べ過ぎるとますます冷えが助長されるということになります。冬や冷え症の方は控えめに。適量をいただきましょう。

 

【生姜】

 カラダを温め、消化促進、むくみ解消など薬効は豊富ですが、陽=温性食材です。手足が冷えていても心身に熱がこもってイライラしやすかったり、目が充血するなど、熱がこもっているときには合わず「薬」にはなりません。カラダの声を聴いて選ぶことが大切です。

季節を感じて芽を出し、成長し、成熟して食卓に届く旬の作物は、わたしたちに季節ごとの生命力を与えてくれます。また、それぞれの季節の体調を調えるはたらきがあります。

 

季節と調和することが健康を保つコツなので、旬の食べものを摂取することは薬膳の成り立ちには欠かせないものです。

【春】


冬の間に眠っていた心身を目覚めさせるように動きの鈍ったカラダを刺激し、溜まった老廃物を体外に排出するなど、めぐりを促す食品が出回ります。

例)ほろ苦い山菜・豆類など

【夏】


暑さから身を守り、熱を冷ましたり、利尿作用のある食品が出回ります。

例)トマト・ナスなどの水分、酸味の多い食品

【秋】


空気が乾燥する季節です。皮膚や粘膜を潤すはたらきの食品や、貯蔵のきく冬じたくのための食品が多く出回ります。

例)果実、穀物、種実、芋類等でんぷん質のもの。 

【冬】


カラダを温める食品や、生命力を養う食品が多く出回ります。

例)白菜、大根やごぼうなど根菜類、ねぎなど

自然界とわたしたち心身との関わりを体系化し、表にまとめたものです。

【木・春・風・酸味・青・肝・胆・目・筋・爪・怒…】


春は木が生長する季節です。自然界は新芽が青々しく目にも鮮やか。一方、春一番が吹き、冷たい風が体内を犯し風邪をひきやすく、乾燥しやすいためインフルエンザなどが大流行するのも春の特徴です。また、「人も自然の一部」ですから、芽吹きと同様に「気」が上昇し、イライラやストレスを感じやすいのも春の特徴です。

 

肝、胆が影響を受けると目のかゆみや充血、筋がつっぱる、爪が割れやすいなどのサインが現われるとされます。予防のために、酸味を上手に取りいれることがよいと教えてくれています。また摂りすぎも逆効果です。

【火・夏・暑・苦味・赤・心・小腸・舌・血脈〔血流〕・面色〔顔色〕・喜…】


夏は暑く、火の要素として考えます。暑いときは顔が赤く、血流が良くなり汗をかきます。汗をかきすぎると心臓の負担になり、ストレスを感じやすくなり、舌に痛みを覚えたり、栄養を吸収する小腸への影響が出て食欲が落ちたり、食べ過ぎによる消化不良が現われたりします。

 

カラダに溜まった余分な熱を冷まし、気持ちを静める苦味を上手に取りいれることで不調を解消します。とりすぎは冷やしすぎてしまうので、適量を知ることが大切です。

【土・長夏〔土用〕・湿・甘味・黄・脾(消化器系)・胃・口・肌肉・唇・思…】


長夏は梅雨時期、土用は季節の変わり目に年4回あります。この時期は湿気がカラダに影響を及ぼし胃腸が弱りやすくなります。胃腸が弱ると疲れやすくなり、疲れると甘い物が欲しくなります。

 

甘い物は気をおぎない食べると元気になりますが、でんぷんを分解する唾液が少ないと消化がうまくいかず、太ったり、糖が余って糖尿病の原因になったりします。また、胃腸が弱ると湿気のダメージを受けやすくなり、むくみや痰・水毒による諸症状(花粉症、鼻炎、中耳炎、ぜんそく、皮膚の痒み、湿疹など)が表われることが多くみられます。口内炎など口にSOS信号が現れやすいです。

 

食べ過ぎてしまう現代人はこの「脾」が弱っているため、元気が減り病気が増え続けています。

脾はカラダを育む「土」の要素なので、脾を丈夫にすることが健康へのテーマとの考えから、

代謝を高める「食べあわせ」で健康を守る方法をお伝えしています。

【金・秋・燥・辛味・白・肺・大腸・鼻・皮膚・体毛・悲…】


肺は、呼吸、大腸、と関係していて、白い肌の人は肺を大切にする必要があります。五臓の中で最も外気に触れやすい位置にあるため乾燥に注意しましょう。

 

また、ぜんそくや鼻炎、花粉症などアレルギー、免疫力とも関係があります。辛味の食材を料理のアクセントとして上手に取り入れることで、改善されることがありますが、摂りすぎは乾燥しやすくもあるので、季節に合わせた摂り方を知ることが大切です。

【水・冬・寒・塩辛味・黒・腎・膀胱・耳・骨髄・髪・恐…】


腎は「命」の源という東洋医学独特の意味があります。命は生まれた瞬間から増えることはありませんが、減らすことを軽減することができます。

 

腎=命を守るには、カラダを冷やさないようにすることが第一です。水分代謝と関わり、尿や生殖のコントロールもします。元気がなくなると顔が黒色になります。

 

塩辛味とは海草類や発酵食品などが含まれますが、いただくことで腎を養い、冷えから守ってくれます。摂りすぎは高血圧などに注意が必要です。

人の心身は気・血・水で構成されていると考えられています。

【気】


気持ち、気分など、目には見ないものとして存在しますが、「気」はとても大事な概念です。たとえば「気が合う」人とは友だちになりますし、「気持ちがいい」場所に人は集まります。「気が乗らない」ときは誘いを断るなど、わたしたちはこの数値化されない「気」が決めてとなり行動を起こすことが多いです。

 

カラダを温め、血や水分をめぐらせ、全身に栄養を与えるなどの働きを持ちます。滞るとイライラ、憂鬱、くよくよなどの気詰まりとなり、消化不良を起こしてお腹が張ったり、便秘と下痢を繰り返したりします。また、高血圧の赤ら顔は気が上がりすぎた状態。気が不足すれば疲れやすい、カゼを引きやすいといった状態になります。

【血】


血液や思考力を指します。血液はカラダ組織の構成成分となる細胞をつくります。血の充実度が弱いと細胞の再生力が鈍り、めまいや髪の異常が起こりやすく、思考力・判断力の低下、不眠などの原因にもなり、老化も早まります。内臓の働きも弱くなり消化吸収機能も低下し、代謝力が落ちます。さらに、血のめぐりがよくないと気のめぐりにも影響を与えるという悪循環が起こります。

【水】


血液以外の水分、汗や尿、唾液、リンパ液などがあります。水のめぐりが悪くなったり体内の水を処理しきれなくなったりすると水が溜まり、むくみやアレルギーなどを引き起こす一因となるため「水毒」といいます。水が不足すると乾燥状態となり乾燥肌、ドライマウス、目の乾燥、空咳などの症状が出やすくなります。